クラウドカルテblancクラウドレセコン WebORCA クラウド版情シス代行サービス診療文書管理・診療業務支援ソリューション Yahgee/CITA
同善会 「これが当たり前」が一変——同善病院が実現した医療DXの全貌

サマリー
医療法人社団同善会 同善病院では、ネットワークの遅延やPC起動に15分以上かかる旧型環境、病棟とクリニック間の情報分断など、様々な課題を抱えていました。クラウド型電子カルテパッケージの導入とITインフラの全面刷新、Microsoft Teamsによるコミュニケーション基盤の変革を実施。その結果、院内どこでもスムーズな業務遂行が可能となり、場所にとらわれない働き方を実現。職員からは「今までの環境が信じられない」という声が上がるほどの劇的な改善を達成しました。導入後も100件以上の業務課題に対応し、継続的な改善を進めています。
導入システム概要
| 区分 | システム |
| 電子カルテ | blanc(亀田医療情報株式会社) モバカル(NTTプレシジョンメディシン株式会社) |
| 統合データベース | CITA(富士フイルムメディカル株式会社) |
| 文書管理・作成 | Yahgee(富士フイルムメディカル株式会社) |
| レセプトコンピュータ | webORCA |
| コミュニケーション | Microsoft Teams |
対象は病院およびクリニック。医師・看護師・リハビリテーション部門・薬剤科・検査部門・医療ソーシャルワーカーなど全職種が利用しています。
導入前の課題
IT環境の深刻な老朽化
同善病院およびクリニックのIT環境は、複数の問題を抱えていました。既に先行して電子カルテが導入されていたクリニックではネットワーク速度が遅く電子カルテの入力に支障をきたしており、家庭用Wi-Fiのために院内全域をカバーできず、つながらない場所も存在していました。また病棟とクリニックのネットワークは分断されており、情報を共有するには物理的に移動する必要がありました。PCも旧型で起動に15分以上かかり、電源を入れて別の業務をしてから戻るという運用が常態化していました。さらに、ネットワーク機器のサポート期間が切れており、セキュリティ上のリスクも見過ごせない状況でした。
コミュニケーションと情報アクセスの壁
スタッフ間の連絡手段は電話が中心で、相手が応答しなければ折り返し待ちが発生。医師への連絡は状況を考慮してタイミングを調整する必要があり、大きなストレスとなっていました。病棟とクリニック間の電話回線が未接続という問題もありました。
情報アクセスの面では、オンプレミス型電子カルテのためインターネット検索は別のPCで行う必要があり、テキストのコピー&ペーストもできず複数システム間で手入力を強いられていました。夜間緊急時には、医師は自宅からカルテを閲覧できず、連絡者が口頭で内容を伝えるしかないという状況でした。
実施した施策
ITインフラの全面刷新
将来的な拡張性を重視し、クラウドベースでセキュリティの高いネットワークを構築しました。また、院内のどこからでもアクセスできる環境を整備するため、全館にWi-Fiを設置しています。
セキュリティ対策として、複数のセキュリティ機能を統合したネットワークセキュリティシステム「UTM(統合脅威管理)」、ネットワーク接続を集中管理する「RADIUS認証」、安全なデータ通信を実現する「VPN(仮想専用線)」を導入しました。
PC端末環境についても、業務内容に応じた適切なスペックのPCを選定・導入。医師向けにはLTE対応ノートPCを支給し、院外からでも診療対応を可能にしました。
コミュニケーション基盤の変革
内線電話中心の連絡体制からMicrosoft Teamsへ移行し、チャットベースのコミュニケーション環境を整備。一部の会議もチャットに置き換えました。
クラウド型電子カルテパッケージの導入
クラウド電子カルテのblancとCITA/Yahgeeによる統合医療情報システムを構築し、統合データベースを整備。クラウド電子カルテ(blanc、モバカル)により場所を問わないアクセス環境を実現するとともに、遠隔レセプト作成サービスも導入しました。
導入効果
業務効率の飛躍的向上
回答率67.6%のアンケートでは、「業務が楽になった」の評価で良好な結果を獲得。「特に困っていない」と思っていたスタッフからも「便利になった、今までの環境が信じられない」というコメントが寄せられました。
ネットワーク高速化により院内どこでもスムーズに業務ができるようになり、PC起動時間も劇的に短縮。「待つのが当たり前」という認識が一変しました。病棟とクリニック間の情報アクセスも自由になり、移動時間が大幅に削減。紙カルテへの記載作業からも解放されました。
コミュニケーションの質的転換
Teamsの導入により、相手の状況を気にせず連絡できるようになり、「繋がらないストレス」が大きく軽減。集まるほどではない相談もグループチャットで解決できるようになりました。会議の数は減少しましたが、会議内容や資料の事前共有によって、ディスカッションの質と密度はむしろ向上しています。
場所にとらわれない働き方
医師は院外から医療情報システムにアクセスできるようになり、専用端末の支給により夜間緊急時も直接カルテを確認可能に。テレワークやリモート対応の基盤も整いました。
記録業務の効率化
アンケートでは多くの具体的な改善の声が寄せられています。「コピー&ペースト機能でカルテ記入時間が大幅短縮」「サマリー作成が簡単になった」「他部署の記録がどこでも見られる」「字が読める(誰のカルテを見ても読める)」「カルテを探す手間がなくなった」「バイタルや食事量の一括入力が可能」など、日常業務のあらゆる場面で効率化が実感されています。
患者の前で情報確認ができるようになったことで、説明の質も向上。入院前情報を各部署に回ることなく確認できるようになりました。
セキュリティの強化
セキュリティ対策を強化したネットワーク構築にあたっては、院内スタッフへ背景を丁寧に説明し、理解を得た上で実施。情報セキュリティリテラシーの向上にもつながりました。
導入後の継続的改善
導入初日から詳細な課題リストを作成し、優先度付けを実施、100件以上の要望・課題に対して、マスタ設定やシステム調整、業務フローの見直し、ユーザビリティ向上のためのカスタマイズといった区分で迅速に対応しました。
具体的には、処方オーダーのデフォルト設定最適化、薬剤マスタの不備修正、担当者選択リストの部署別フィルタリング、ブックマーク機能の拡充など、現場の声に基づいた改善を積み重ねています。アンケートで寄せられた全ての意見に対して具体的な回答を作成・共有し、一つひとつ誠実に対応方針を提示しました。
今後のDX展開
短期的には、書類作成業務の自動引用強化や動作環境の快適性向上に取り組みます。中長期的には、スケジュール管理の統合によるグループウェアとの連携、統合データベースからのデータ抽出・分析機能の強化、そしてサマリー自動生成をはじめとする生成AI・RPAの活用による業務効率化を推進していきます。UI/UXの継続的改善やリマインド・アラート機能の強化など、クラウド型システムの拡張性を活かしたさらなる進化を目指しています。
プロジェクトの成功要因
本プロジェクトの成功を支えたのは、まずITインフラアセスメントによる徹底した現状調査です。「特に困っていない」という認識の背後にある真の課題を発見し、全職種からのフィードバックを収集して職種横断的な改善を実現しました。
導入にあたっては、クリニックでの先行導入を経て病院への展開を行う段階的なアプローチを採用。導入初日からの詳細な課題管理と迅速な対応、セキュリティと利便性を両立させるための丁寧な説明、そして導入後も継続するDX支援体制が、劇的な改善の基盤となりました。
株式会社シーズ・ワンは、現状調査から導入、運用定着、さらなるDX推進まで、医療機関のデジタル変革を総合的に支援いたします。
※本事例は2024年4月の導入実績に基づいています。